テレワークの課題解決は、平常時の体制の見直しから
5月25日に緊急事態宣言が解除されました。しかし、各所でのアンケートによると、このままテレワークを続けたいと考える人は6割にも上ると言われています。もちろん、これは未だ安心出来ないので通勤を避けたいと考える人もいるでしょうし、テレワークでも十分に通常勤務が行えている、むしろ効率が上がった、等と考える人もいらっしゃるでしょう。何より、通勤において一番のストレスになる満員電車からの解放は大きな要因のようです。
更に、都内のオフィスを解約し始めた企業も出てきて、会社の在り方や仕事をするということ自体が、Withコロナもしくはアフターコロナでは大きく変わるのではないかと思います。
そんな中、テレワークを実施したことによって挙がってきた課題も、当然のようにあります。最も多かった課題が48.8%で「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」ということです。
https://www.jpc-net.jp/research/detail/004392.html
(出典:公益社団法人 日本生産性本部)
ここから考察出来ることは、やはり安直にテレワークを導入してしまったことで、最も重要である、「業務に必要な情報にアクセスすること」が検証されずに実施されてしまったということでしょう。この自粛要請期間中に気になっていたことでもありますが、自宅でWeb会議ツールを通じて仕事をすることがテレワークだと思われてしまっている気がしました。そんなことだから、古き良き昭和を生きてきた経営者の中には、テレワークは休暇とほぼ同等くらいにしか認識していない人もいるのではないかと・・・
しかし、これは全くズレた感覚と言わざるを得ません。会社が保有している情報(顧客リスト、営業資料、経理文書、仕様書、企画書 ...etc)にアクセスしてこそ業務が可能なのに、そこは社内サーバーに置いたままVPNも引かず、ノートPCを持ち帰る、場合によって個人所有のPCに依存するなどし、Web会議ツールをインストールして動き出してしまったとしか思えません。
ここで翻って考察してみると、平常時の業務においても、情報共有という意識の低さが露呈してしまった事例ではないかと考えられます。
- 常に社内で情報を共有する文化を作っておく
- 業務が属人化しないよう、複数人で同一プロジェクトに関わる
- 緊急時でも最低限必要な情報にアクセス出来る体制と仕組みを構築しておく
他にも細かいことはいくらでも挙げられますが、基本的にこの3点を普段から実践していれば、自ずとテレワークはスムーズに実施出来たと思われます。
弊社におけるテレワークは、業務基盤をG Suiteに集中させ、アクセスさせる端末をChromebookにして一括リモート管理を可能にしています。開発作業はChromebookでLinuxを起動させることが出来るので、Linux上で開発環境を構築、リモートのサーバーとは鍵認証でセキュリティを保つ体制を取っています。
このことから、平常時に会社で使用する端末もChromebookで済みますし、それを自宅へ持ち帰ればテレワーク環境が自ずとあるわけです。共有するデータ類はGoogleドライブにあり、アクセス権限はプロジェクトや部署ごとに振り分けています。コミュニケーションは、必要な時にHangoutsやMeetで行えます。更に、Android端末には仕事用プロファイルを強制インストールさせて、プライベート用のプロファイルとは別管理することで、モバイルアクセスも会社の管理下に置くことを実現しています。
もちろん、各社の事情により採用するツールは異なりますが、共通のキーワードは「クラウドをいかに使うか?」ではないかと思います。クラウドを薦めるとネガティブな意見ばかり耳にしますが、投資額に糸目を付けなくて良い大企業ならまだしも、中小企業のテレワークはクラウド無くして難しいのではないでしょうか。